90年続く、小杉湯の店長平松弘史さんに、生活の木を選んでいただいた理由、これからの銭湯の在り方などについて、お話を伺いました。
生活の木との出会いは、「もったいない」
小杉湯の銭湯は、祖父が口癖のように私たちに伝えてきた「きれいで、清潔で、気持ちの良いお風呂」の言葉通り、掃除に力を入れ、入浴する心地よさを提供しています。最近ではビル型の銭湯が多い中、昔ながらの宮造りの銭湯で、大きな富士山の背景画と昼間降り注ぐ柔らか日差しを感じながら、手足を伸ばし入浴を存分に味わえる銭湯です。
私たちは、常に気持ちいいお風呂ってなんだろうと問いながら、仕事をしています。こうした中、四季を感じられるお風呂、自然を感じられるお風呂を提供したいと考えるようになりました。いろいろと試行錯誤をする中、小杉湯にいらっしゃる常連のお客様さまから、廃棄する予定だったみかんの皮を譲り受け、お風呂に入れることに。これがとても好評で、同様の取り組みができる先を探していた時に、生活の木に出会いました。
生活の木でも、食品グレードとして使うことが難しい、ローズやバタフライピーなどハーブ原料の利活用を検討されていることを知り、小杉湯で活用させていただくことになりました。
香りのお風呂って、気持ちいい!
ハーブのお風呂は、とても好評で大人気。香りの良さはもとより、バタフライピーの目にも鮮やかなブルーで視覚的にも楽しめるお風呂を提供することができました。
これをきっかけに、生活の木との関わりがスタート。金木犀の咲く時期には、入浴後休憩をしていただくスペース近くに商品を設置するなどして、洗い場だけでなく、小杉湯の場をフルに活用して、香りの提案をしています。
最近では、生活の木薬草湯を期間限定で、楽しめるイベントを実施。お客さまが気持ちいいと感じていただける自信は十分にあり、結果そのとおりの反響がありました。通常の湯温よりも高めの温湯(あつゆ)では、「肩と腰がいたい。」を、ジェット風呂では、「温めたい。」をたっぷりと入れて、お客さまに楽しんでいただきました。
変わらないために、変わり続けていく
小杉湯を守り、銭湯カルチャーを守るため、私たちは様々なチャレンジを続けてきました。それは、父の代から変わらずあり続ける姿勢です。父の代では、ギャラリースペースを設けたり、洗い場で落語をしたことも。それでも、淘汰されていく銭湯業界を生き抜くために、私たちは2024年春、更なるチャレンジをします。
それは、原宿の地へ、2店舗目の小杉湯を作ること。
そもそも銭湯が二店舗目を出すこと自体、前例のないことですし、ずっと小杉湯に通ってくださっている方からは、不安や疑問に思う声もあることは事実です。
ですが、小杉湯を存続するためにも、軸を変えることなく、やり方を変えていく、変え続けていく必要があると思っています。
高円寺と原宿、二か所展開をすることで、それぞれで新しい体験価値を提案していきたいと考えています。
その延長に、生活の木があると思っています。生活の木とは、コラボレーションという枠組みを超え、「共同取組者」として一緒に肩を並べて、これからもお風呂を介して、銭湯業界を盛り上げていく取り組みができたらと考えています。
案件担当者 開発営業本部 小倉 健斗
(取材・文 / 開発営業本部 平川 知子)